Webサイトやバナーを制作していると、クライアントから
「もう少しおしゃれにしてほしい」
「高級感を出したい」
「若い人向けのデザインにしてほしい」
といった修正依頼を受けることがあります。
しかし、「おしゃれ」や「高級感」のイメージは、人によって異なります。依頼された言葉だけを頼りに色や文字を変更しても、クライアントが求めているデザインに近づくとは限りません。
では、Webデザイナーは曖昧な修正依頼を受けたとき、どのように対応すればよいのでしょうか。今回は、具体例を交えながら、修正依頼をデザインに反映するまでの考え方を紹介します。
1. Webデザインの仕事では、曖昧な修正依頼もある
例えば、ある企業のWebサイトを制作し、デザイン案をクライアントに確認してもらったとします。その際に「もう少し高級感を出してほしい」と言われたら、どこを変更すればよいのでしょうか。
背景を黒にする、文字を金色にする、写真を大きくする。いずれも高級感を演出する方法の一つですが、必ずしも正解とは限りません。企業が扱う商品やサービス、ブランドのイメージによって、適した表現は異なるからです。
また、「若い人向けにしてほしい」という依頼も、具体的なイメージが分からなければ対応が難しいものです。カラフルな配色や大きな文字が適している場合もあれば、シンプルで落ち着いたデザインが好まれる場合もあります。
Webデザイナーは、依頼された言葉をそのままデザインに置き換えるのではなく、クライアントが何を実現したいのかを確認する必要があります。
2. まずは、相手が求めているイメージを具体化する
曖昧な修正依頼を受けたとき、Webデザイナーが最初に行いたいのは、変更する場所を決めることではなく、クライアントの意図を確認することです。
例えば、「高級感を出してほしい」と言われた場合、次のような質問が考えられます。
- どのような人に見てもらいたいですか?
- 高級感のあるブランドやWebサイトで、参考にしているものはありますか?
- 現在のデザインのどこがイメージと違いますか?
- 商品やサービスについて、特に伝えたい魅力は何ですか?
クライアントが参考サイトや画像を持っている場合は、実際に見せてもらうと、言葉だけでは伝わりにくいイメージを共有しやすくなります。
または、こちらから参考になりそうなサイトを3~5点用意して、どれが雰囲気に近いか選んでもらうのもいいでしょう。
質問を通して「価格の安さよりも品質の高さを伝えたい」「落ち着いた雰囲気で信頼感を出したい」といった具体的な要望が分かれば、デザインの変更方針を考えやすくなります。
3. 要望を具体的なデザインの要素に置き換える
クライアントの要望が明確になったら、Webデザイナーはそれを配色や文字、写真、余白、レイアウトなどの具体的な要素に置き換えます。
例えば、クライアントが「高品質な商品なので、落ち着いた高級感を出したい」と考えている場合、Webデザイナーは次のような方法を検討できます。
- 配色:使用する色を絞り、落ち着いた印象に整える
- 文字:書体や文字間を調整し、ブランドの雰囲気に合わせる
- 写真:商品の質感や細部が伝わる写真を選ぶ
- 余白:要素を詰め込みすぎず、商品が引き立つ配置にする
一方、親しみやすさを重視する場合は、柔らかな色合いや人物写真、読みやすい文字などが選択肢になります。
ただし、これらはあくまで表現方法の例です。Webデザイナーは、イメージだけで判断するのではなく、サイトの目的やターゲット、ブランドの特徴に合わせて変更内容を考えます。
4. 修正案を見せて、方向性をすり合わせる
変更方針が決まったら、Webデザイナーは実際にデザインを修正し、クライアントに確認してもらいます。
方向性が定まっていない場合は、例えば「写真を大きくして余白を広く取った案」と「色数を絞り、文字の配置を整理した案」のように、異なる方法を比較できる形で提示することもできます。
複数の案を見てもらうときは、単に「どちらが好きですか」と尋ねるだけでなく、
「商品の品質を伝えるという目的に、どちらが合っていると感じますか」
「御社のお客様にはどちらがふさわしでしょうか」
という切り口で確認すると、クライアントは答えやすくなります
クライアントの意見を受けて、さらに修正を重ねることもあります。変更した理由を説明しながら確認を進めることで、デザイナーとクライアントの認識のずれを減らせます。
5. デザインの技術だけでなく、要望を整理する力も必要
曖昧な修正依頼への対応には、デザインソフトを操作する技術だけでなく、相手の要望を聞き取り、具体的な変更内容に落とし込む力も必要です。
例えば、配色やレイアウトの知識があれば、「高級感を出す」という要望に対して、どの要素を変更すればよいかを複数の視点から検討できます。また、変更の意図を言葉で説明できれば、クライアントとの相談も進めやすくなります。
デザインを学ぶ際には、作品を完成させるだけでなく、「なぜこの色を選んだのか」「なぜこの位置に配置したのか」を説明する練習もしてみましょう。こうした習慣は、制作物を改善するときや、相手にデザインの意図を伝えるときにも役立ちます。
まとめ
「もう少しおしゃれにして」という依頼に対応するには、言われたとおりに見た目を変更するだけでは不十分です。Webデザイナーは、まずクライアントの意図を確認し、その要望を配色や文字、写真、レイアウトなどの具体的な変更に置き換えていきます。
デザインの基礎を身につけることは、見た目を整えるためだけではありません。相手の要望に応じて改善方法を考え、その理由を説明できるようになることも、Webデザインの実務につながる大切な力です。

